Terra/LUNAのエコシステムのなかでも注目を浴びていた「Mars Protocol」がついに公開されました ^^
TerraブロックチェーンのMoney Marketであり、USTを借り入れてレバレッジをかけたイールドファーミングをすることができるのが特徴です。
今回はこのMars Protocolの機能と仕組み、とくに「C2C Borrowing」を解説して、使い方と運用方法を紹介していきます ^^/
Mars Protocolの概要
Mars ProtocolはTerraブロックチェーンのMoney Marketの1つです。
Terraブロックチェーンではほかにも「Edge Protocol」というDAppもありますが、どちらも同じようなタイミングで使えるようになりました ^^
Mars Protocolが画期的なのは、これまでのDeFiのMoney Marketでは証拠金を預けることで借入をする「Contract to Borrower (C2B)」だけでなく、余分な証拠金がいらない「Contract to Contract (C2C)」を導入している点です。
これによってより効率よく資産を運用できるという利点があります(後ほど解説します ^^)
Mars Protocolの機能
Mars Protocolのおもな機能としては以下の2種類があります
- 「Red Bank」でのレンディング&ボロウィング
- 「Fields」でのレバレッジイールドファーミング
「Red Bank」は証拠金(コラテラル)を使ったトークンの貸し借りができる機能(AAVEのようなもの)です。
参考:DeFiレンディングでレバレッジ型預金=高金利インカムゲイン
「Fields」では余分な証拠金なしでUSTを借りて、レバレッジがかかった状態でイールドファーミングできます(Alpaca Financeのようなもの)。
現在は以下の3つのレバレッジイールドファーミングが可能で、どれもレバレッジ1~2倍の範囲で設定して使うことができます。
- LUNA-UST
- MIR-UST
- ANC-UST
これらのうち、借入ができるのはUSTのみとなっており、LUNA・MIR・ANCは自分で準備する必要があります。
運用方法は限られていますが、将来的にDAOによって追加していくとのことです ^^
C2Cの仕組み
Mars Protocolの特徴はなんといってもFieldsが採用している「Contract to Contract (C2C) Borrowing」でしょう。
C2Cをわかりやすく説明すると
- 最低限の証拠金でトークンを貸してくれる
- その代わり借りたトークンの使い方が決められている
という2点になるのではないかと思います ^^
「最低限の証拠金でトークンを貸してくれる」というのは、手持ちの資金と同額を貸してもらえるということです。
例:10LUNA (=$1000)持っていれば1000UST ($1000)借りられる
通常の証拠金だけを頼りにトークンを借りる場合には最大でも手持ちの80%や60%などしか貸してもらえません。なのでC2Cは借り手の返済能力を優しく審査してくれる感じです ^^
ちなみに「Fields」が「Red Bank」からUSTを借りており、利息がかかるけどかなり安いです ^^
「借りたトークンの使い方が決められている」というのは、USTを借りてもどう使うかがあらかじめ決まっているということです。
例:「借りたUSTを自分のLUNAと組み合わせて(LPにして)Astroportでファーミングする」のであればUSTを貸してあげる
という感じです。C2Bであれば借りたUSTは好きにできますがC2Cだとできません ^^;
つまりMartian CouncilがAstroportのLUNA-USTイールドファーミングのスマートコントラクトを信用しているから少ない証拠金でUSTを貸してくれる、と言い換えることもできるかと思います。
なので「Contract (Mars ProtocolのUST Borrow) to Contract (AstroportのLUNA-UST Farming)」というわけです ^^
C2Cの強み
Fieldsの強みは「C2B借入よりも資金効率が高くなる」ことです ^^
なぜなのか理解するために「LUNA-USTのファーミング」をする場合にRed Bankを使う場合と比べてみます。
Red Bankを使う場合 | Fieldsを使う場合 |
---|---|
|
|
この場合、Fieldsだと余分にLUNAが必要なくなり、その分もっと資金効率の良い運用をすることができます ^^
これがFields (C2C borowwing)を使う利点になります ^^/
C2Cの弱み
Fieldsには逆に弱み、というかリスクはあります。
- Liquidationのリスク(わかりにくい)
- スマートコントラクトのリスク
- インパーマネントロス
C2Bと同じように「Fields」のC2CでもUSTを借りすぎるとLiquidationが発生して精算されてしまいます。ただしFieldsでは借りたUSTがLPの一部になっているのでわかりにくいです。
Liquidationが起こるのは「LPトークン内のUSTの価値が借りているUSTの価値の65%以下」になったときです・・・^^:
下の図(Mars Protocol公式ドキュメントより)をみるとわかりやすいかと思います。
ようは自分のトークン(LUNA・MIR・ANC)の価格が
- 上昇すればつられてUSTも増えるので問題なし
- 減少すればつられてUSTも減るので危険
ということになります ^^;
LPを組むのでわかりにくいですが、価格の変化を和らげることができる点を考えると、C2BよりもLiquidationしにくいと言えるかもしれません ^^
どれくらいLiquidation Threshholdに近づいているかはFields内で確認できるのでたまにチェックするようにしましょう ^^/
Mars Protocolでの運用方法
それでは実際にMars Protocolでどんな運用をできるのか考えてみます ^^/
- 「Red Bank」でのレンディングとボロウィング
- 「Fields」でのレバレッジイールドファーミング
- 保守的なレバレッジイールドファーミング
これらについての利点・欠点をみながらやり方を解説していきます ^^
あくまで個人的にまとめたものですので、もっと良い方法があるかもしれません ^^; 自分でも運用方法を考えてみてください ^^/
1.「Red Bank」でのレンディングとボロウィング
現段階では基本的に「Red Bank」は単体で使っても金利があまりにも低いのでうまみはないと思います。
もしC2Bを使いたいのであれば「Edge Protocol」を使った方がいいでしょう ^^
「Edge Protocol」については運用方法3で簡単に解説します。
2.「Fields」でのレバレッジイールドファーミング
基本的にBull型(ロングポジション)なので、LUNA・MIR・ANCの価格が上昇すると思うのであれば、素直にレバレッジイールドファーミングをするのが有効です ^^
例としてLUNA-USTのレバ2倍でやるには以下の手順でできます
- LUNAをウォレットに準備する(例:$1000相当)
- Mars Protocolの「Fields」ページにいく
- 「LUNA-UST」ペアの「Farm」ボタンをクリック
- 預けたいLUNA ($1000)を入力
- USTのスライダーを左端(0%)にする(LUNAと同額のUSTを借入=レバレッジ2倍)
- ポジションの確認
- 借入USTの金額
- Liquidation Threshold
- 「Farm」ボタンをクリックしてガス代を払って完了
やってみると簡単です↓
Fieldsでウォレットを接続し「LUNA-UST」のFarmボタンをクリック
ウォレットからいくらのLUNA(上のスライダー)とUST(下のスライダー)を出資するかを設定(USTの借入額=レバレッジの設定)
借入額ととLiquidation Threshholdを確認してOKならガス代を払ってファーミングする
レバレッジは1~2倍で調節できる(USTのスライダー)のでリスク許容度に応じて設定しましょう ^^
注意:どうやら借入できるUSTの量に限界があり、現時点ではもう借入できなくなっているようです ^^; 開発が対応すると言ってますので、それまではレバ1倍(USTを全額自分で出資する)でファーミングはできます・・・
このスライダーがかなりのクセモノでわかりにくいです ^^;
スライダーはウォレットから何%のトークンを出資するかを決めます。なのでウォレット内にLUNAを$100、USTを$10しかもっていない場合には、両方のスライダーを100%にしてもLUNA$100 - UST$10となり、UST$90の借入をすることになります(右側の「Amount I borrow」が$90になります)。それぞれの左下に表示される金額を見てLUNAとUSTの比率を調整しましょう ^^;
それを踏まえて、たとえばUSTの借入をLUNAの金額の50%にして、残りの50%を自分の資金で補填するのであればレバレッジ25%となり、借入額が低くなるのでAPYは犠牲になりますがLiquidation Thresholdが低くなって安全に運用できます ^^
下部のチャートにLiquidation Thresholdが表示されるので、これでどのくらいのリスク(借入とLUNAの価格変動)を許容できるかチェックしましょう ^^
この運用方法の利点は
- 実質APYを~2倍にできる
- 借入の分は追加資金なしでファーミングできる
欠点は
- レバレッジを高めるとLiquidationしやすくなる
- 価格が下がると原資が減りLiquidationも起きる可能性がある
まだTerraブロックチェーンを始めていないという人は以下の記事が参考になるかと思います ^^/
トークン価格が上昇するときはいいんですが、価格の影響を抑えたいという人は3つめの方法がいいかもしれません。
3. 保守的なレバレッジイールドファーミング
LUNA・MIR・ANCの価格変動による影響を最小限にしたい、という人向けの運用方法です ^^
この方法では「Edge Protocol」を使います ^^
再度LUNA-USTでファーミングするケースを考えると
- Edge ProtocolでUSTをレンディング(証拠金)
- Edge ProtocolでLUNAをボロウィング
- Mars Protocolの「Fields」でLUNA-USTをレバレッジイールドファーミング
Edge Protocolにいきウォレットを接続
SupplyでUSTをレンディングする
BorrowでLUNAをボロウィングする(Liquidation%に注意)
ポジションを確認&借りたLUNAをMars ProtocolのFieldsでLPにしてファーミング
Fieldsでやることは先ほどと同じなので省略します ^^;
この方法の強みは
- LUNAを借りることで価格変動による資産への影響を抑える(LUNA価格が下がるとLPの価値も下がるが、返金するLUNAの価値も下がる。逆も同様)
- Red Bankで貸し借りするよりも金利が多くもらえる
逆に弱みは
- LiquidationはLUNAの価格上昇によって起こる(Edge Protocolで)
- 資金効率が悪い
なのでより保守的な運用方法ということで紹介しました ^^;
まとめ
今回はTerraブロックチェーンのMoney Marketである「Mars Protocol」について紹介しました ^^
特徴としては
- 通常のDeFi Money MarketであるRed Bank
- C2C (Contract to Contract) BorrowingであるField
という機能を持っており、現在は手持ちの「LUNA・MIR・ANC」と最大で同額のUSTを借入してLPトークンにしてレバレッジイールドファーミングができます ^^
資金効率が良くなるので積極的に使いたいところですが、LUNAの価格が下がるとつられて借入したUSTが減ってしまうのでLiquidationのリスクがあります ^^;
心配な人は本文で紹介した、借入したLUNAを使ってのレバレッジイールドファーミングのほうが安全かと思います ^^
Terraブロックチェーンのことがよくわからんという人は下の記事でUSTとLUNAの仕組みなどを紹介しているので参考にしてみてください ^^
参考:Terra/LUNAプロジェクトと仕組みを理解して将来性を考える
記事をシェア・Likeしてくれると ^_^ です!
comments powered by Disqus